空き時間情報とは
「空き時間情報」は各個人(各メールボックス)の予定表情報のうち、何時から何時に予定が入っているか等の「空き時間」の情報を抜き出したものです。主に会議出席依頼を作成中にメンバーの予定表を一括で参照する際に利用されます。各個人のメールボックスの予定表のデータそのものを参照するのとは別のロジックで取得されます。
Outlookのバージョンと空き時間情報の取得方法
空き時間情報の取得方法、取得場所はOutlookのバージョンによって大きく異なります。
- ~Outlook2003
- パブリックフォルダを使って空き時間情報を投稿、取得します。
- Outlook2007~
- Exchange Server 2003までのバージョンに対してはパブリックフォルダを使って空き時間情報を投稿、取得します。
- Exchange Server 2007以降のバージョンに対しては可用性サービスから空き時間情報を取得します。
Outlook2003の時代(Exchange Server 2003の時代)にはパブリックフォルダから空き時間情報を取得する方法しか存在しなかったのでOutlook2003はどのバージョンのExchange Serverに接続しようとも(Exchange Server 2007, 2010であったとしても)常にパブリックフォルダに空き時間情報があるものとして動作します。Outlook2007以降は下位互換のためにパブリックフォルダに空き時間情報があるとして動作することもできますが、Exchange Server 2007以降に接続していると判断すれば可用性サービスを利用するモードに切り替わります。そのほうが色々と問題(※後述)が発生しないからです。
Exchange Serverのバージョンと空き時間情報の提供方法
Exchange Serverのバージョンによっても空き時間情報の提供方法は異なります。
- ~Exchange Server 2003
- Exchange Server 2007~
空き時間情報の場所と動きの違い
Exchange Server 2003, Outlook 2003の時代とExchange Server 2007, Outlook 2007以降とでは空き時間情報関連の動作が全くことなることがわかりました。これだけ大きな変化をさせたからには以前の方法には大きな問題があり、新しい方法ではそれが改善されているはずです。比較表がtechnetに記載されていますので以下に引用します。
空き時間コンポーネント | Exchange 2003 で実行されている Outlook 2003 | Exchange 2010 または Exchange 2007 で実行されている Outlook 2007 |
---|---|---|
最新情報 | 空き時間情報が最新である保証はありませんでした。空き時間情報が古くなる要因として、次のようなものがありました。
|
空き時間情報は、取得されるすべてのデータについて、取得直後 (60 秒以内) の最新情報であることが保証されます。 |
時間精度 | 1 つのストリームで 4 つの会議の状態 ([空き時間]、[仮承諾]、[予定あり]、および [外出中]) が使用できました。予定の詳細を取得するには、追加の MAPI 呼び出しが必要でした。 | 既定では、空き時間情報には個々の予定の開始時刻と終了時刻が表示されます。追加の予定表のプロパティ ([件名] や [場所] など) は、可用性サービスを介して使用できます。 |
セキュリティ | 認証された任意のユーザーが、パブリック フォルダー内のすべての空き時間情報にアクセスできました。つまり、認証された任意のユーザーが、別のユーザーの空き時間情報を削除、変更、または公開することができました。 | 一般的な予定表の共有と同様に、空き時間情報のセキュリティも強化されています。企業ポリシーに従って、特定のユーザーと共有する空き時間情報の量を指定することができます。可用性サービスはユーザーのメールボックスから直接読み取るため、ユーザーが別のユーザーの空き時間情報を変更または公開することはできません。 |
公開頻度 | Outlook 2003 の既定の公開間隔は 45 分です。 | Exchange 2010 および Outlook 2007 組織では、公開は必要ありません。 |
空き時間情報サービスについて: Exchange 2010 のヘルプ
Exchange Server 2003, Outlook2003の時代には「遅延」が大きな問題であったことがわかります。Outlookが空き時間情報アイテムを作成して投稿するタイムラグと、パブリックフォルダ自体の複製のタイムラグと。さらに言うと、会議出席依頼に対してもサーバー側で自動的に処理を行う仕組みが中途半端にしかなかったため、
- 会議室空いてる!(←じつはタイムラグがあって空いているように見えているだけ)
- 会議出席依頼を投げて会議室確保!(←実は仮の予定がダブルブッキングになっている)
- 時間になって会議室に行ってみたら他の人がつかってた…。
というような悲劇があちこちで発生していました。
Exchange Server 2007, Outlook 2007になると、可用性サービスを使って最新の空き時間情報を取得し、さらに会議室リソースに対してきちんとリソース設定を構成してあげることでこのようなトラブルはめったに発生しないものになりました。
空き時間情報周りはトラブル多発地帯
空き時間情報周りのアーキテクチャが改善され、使い勝手は向上したのですが、Outlook2003がまだ残っているような環境ではロジックが混在し、より一層動きが複雑化してしまっているのもまた事実です。そしてやはり空き時間情報まわりはトラブルが頻発する箇所です。「空き時間情報」「FreeBusy」で検索すると大量のKBが引っかかることからもそれがわかると思います。
6590件
サポート技術情報の検索
17200件
まとめ
今回は空き時間情報の取得について解説しました。
- Exchange2003, Outlook2003まではパブリックフォルダに情報がある。
- Exchange2007以降は可用性サービス(Webサービス)に情報がある。Outlook2007以降はそれを利用できる。
- 可用性サービスはパブリックフォルダでの空き時間情報の管理の問題を解決し、ほぼ最新の情報が得られる。
- Exchange2007,2010でもOutlook2003以下のクライアントとも共存可能。その場合にはパブリックフォルダを作成する必要がある。
まずは、サーバーとクライアントの種類によってどこが見るべきポイントなのかわかるようになれば、トラブル発生時に切り分けが迅速に出来るようになると思います。
コメント